vol.2 『新宿の夜に出会ったコワオモテのオニイサン』 2008.9.14 |
〜グラスを廻し飲みながら言霊はさらにスパークする〜 |
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 Photo by HAJIME |
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カツラ |
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今度、新宿2丁目、行こうよ。
結構、頻繁に行ってたの。
すごくいいお店があるんだよ。
みんなすごく面白くて、
1人3000円くらいで全部飲ませてくるし。 |
ハジメ |
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え、手ごろなんだぁ。いいねえ。 |
アキヨ |
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行ってみたいね。 |
カツラ |
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久々に4カ月くらい前に行ったんだけどさあ。
もう何軒もハシゴして、だいぶ飲んでから行ったんだよ。 |
ハジメ |
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ツ、ヨ、イ、なあ。 |
カツラ |
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そうしたら、
お店の前にコワオモテの男の人がうずくまってて。
こっちも酔っぱらってるから、
「ダイジョウブですか〜」なんて、声かけたんだよ。 |
アキヨ |
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どんな男の人? |
カツラ |
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坊主頭で、金の太いネックレスしてて。
白と黒のコントラスがハッキリした、ベルサーチみたいな服着てて。 |
アキヨ |
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酔ってるから、声かけられちゃうんだね。 |
カツラ |
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うん、酔ってたからね。
そしたら、そのオニイサン
「大丈夫、大丈夫」って。
「これからどこ行くの?」って聞かれて。
「飲みにいくんです〜」って、答えたら、
「一緒に行っていい?」って。
で、どうぞ、どうぞ〜って。
一緒に、その行きつけのお店に行ったのね。 |
ハジメ |
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んー、興味ある展開だけど、ちょっと心配! |
カツラ |
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そうなの。
それでお店の人も初めて連れて行ったお客さんだから
「大丈夫なの?」って、
心配してくれたんだけど。
すごく紳士的な人でね。
全部ごちそうしてくれたの。 |
アキヨ |
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いい人でヨカッタね。 |
カツラ |
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そうなんだよ。
カツラが、ネ〜、とか言ってしなだれかかったら、
「そんな風に、安っぽくやるもんじゃない」って
言ってくれて。 |
ハジメ |
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んっ、どういうこと? |
カツラ |
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すごくいい人だった。
帰るときもお店の人が、
二人が一緒にどこかに行くんじゃないか、と思って、
「ダメヨ、ネッ、ヘンなことしちゃ。
カツラちゃんによくしてあげてね」って、
気をつかって、彼に言ってくれたんだけど。
本当に、そのまま送ってくれただけでね。
店出たら、もう、朝7時ぐらいで。
タクシー代くれて。
「ちゃんと、帰りなさい」って。 |
ハジメ |
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ホントに、それで、終わったの、かなあ? |
カツラ |
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普通、電話番号とか聞くじゃない。
「電話番号とか、いいんですか?」って言ってるんだけど、
カツラは、もう酔ってるから
「デンワバンゴウ、イインレスラ〜?」みたいな、さ。 |
アキヨ |
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レスラ〜って。ハハハハハ。 |
ハジメ |
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下心って、やっぱ、普通、あると思うんだけどな。 |
カツラ |
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そしたら、その人は
「そんなのはいいっ」って。 |
ハジメ |
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ある意味、格好イイ! |
カツラ |
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夜ってね、
カツラは、酔っぱらって、
いろんなとこ行ってたんだけど。
すごいいい思い出、いっぱいある。
もういつどこで会えるか、
二度と出会えないかもしれない人たちだけど。
酒場の利点だね。
知らない人とも、飲んで、泣いて、話して。 |
ハジメ |
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かつら道場、開こうよ。見知らぬ人同士が飲み、語る場。
ちょっと、それ、企画しちゃおうよ。 |