FUTURE〜文筆家・勝沼紳一と企画者草川一が当て所なく繰り広げる四方山話〜

救命救急医療の現実と、運気の流れ。その壱             2007年6月10日

前回より、ちと間隔が空いてしまって申し訳ない。およそひと月、バタバタしててね。
品川に住んでいるお母様が倒れて、救急車で運ばれたんでしょ?
そう。ちょうどGWの谷間でね。例の唱歌本(http://www.night-science.tv/program.html)と、もう一冊別の企画本の全データを印刷所に入れ込んだ二日後で……。ゲリラ的日常からようやく解放されて、ホッと一息、赤坂にあるスナックで、馴染みのママと若いネェちゃん相手に昼間っから呑んでたのよ。
そしたら、お母様から連絡が入った?
携帯にね。ほろ酔い状態で電話に出れば、もう口調がおかしい!! 呂律が回ってないわけじゃないけど、会話が噛み合わない。こりゃ「脳をやられたな」と直感で思った。ヤバイから、すぐに実家に飛んでったよ。
良かったね。偶然、近くにいる時で?
うん。店から20分ちょっとで駆けつけられたからね。すぐに、生まれて初めて電話で救急車を呼ぼうとして……、とっさに119番が出てこないんだなぁ、これが。199番や109番など、片っ端からかけてみるけど、当たり前だ、つながらない(笑)。焦ったよ。
相当に酔ってたのかい?
それもあるけど、俺もかなり動揺してたんだろうね。やっと救急車に乗り込んだら、今度は、都内の大病院に20箇所近くも拒絶され、救急車を搬送出来ない。1時間半も!!
そりゃ、ひどいね。連休中だから?
みたいね。電話の応対が俺の耳にも聞こえるのよ。どこも冷淡だよ。実名を挙げたいくらいさ。お袋は71歳だけど、年寄りの脳疾患の緊急患者は、専門外の、若いバイトの当直医なんぞじゃ対処しきれない。だから最初から「運んで来るな!!」ってわけ。
それが、救命救急医療の現実なのかな?
少なくとも大都市部においては「これが日常茶飯事だ」と、ベテラン救急隊員の一人に嘆かれたけどね。最後は、大田区にあるE病院に運ばれるんだけど……。結果的にこれが、脳疾患の「最前線治療」を受けさせて頂く幸運に結びつくのだから、人生ってホント「塞翁(さいおう)が馬」だよなぁ。この病院の脳卒中センターの活躍は、全国的に有名らしく、この日は特に、神経内科の医長のN先生というプロ中のプロが、救急の当直で詰めていたのね。ごく自然の成り行きで、お袋の主治医になって下さった。
ほぉー、そりゃ不幸中の幸いだ。