FUTURE〜文筆家・勝沼紳一と企画者草川一が当て所なく繰り広げる四方山話〜

救命救急医療の現実と、運気の流れ。その弐             2007年6月18日

マジに!! すぐにMRI室に運ばれ、数時間後には治療が始まってたよ。病名は「静脈洞血栓症」。脳の静脈の左側出口付近に、血の塊(血栓)が出来た。静脈が流れづらくなり、その手前で血管が膨れるわけだけど、年齢的に血管そのものがもろいから、ジワジワと血がにじみ出ていたんだね。ただ、これは怪我の功名だけど、お袋の血が「下水道のヘドロだな」と医者に呆れられるほど異常に粘ってたから、出血の拡がりを最小限に抑えられたらしいけどね。
もともと高脂血症だったの?
うん。おまけに、俺が駆けつけるまで、まるまる二日間、水一滴すら飲み食いがままならず、ゲーゲー吐きまくってたみたいでさ。
あららら。全身が衰弱状態だ。
もしお袋が朦朧とした意識の中で、息子の俺に電話をかけて来なければ、また、俺がその日、すぐ駆けつけられる状態になければ、おそらく数日後に餓死してたね。都会に住む、一人暮らしの老人の孤独死!! 大事件がない日なら、TVのワイドショーの下劣なレポーターどもが押しかけてくるケースだな。俺は、エエ歳こいて、親不孝男の代表だ(笑)。
でも結果は逆で、命の恩人じゃん。
これってさ……、「運気の流れ」が生んだ奇跡というやつじゃないかね? 俺にとってもお袋にとっても。そうとしか説明しようがない「不幸中の幸い」の連続で。
普段、親不孝ばかりしてるボンクラ息子が、一生に一度ぐらいは親に善行を働く。
ボンクラは余計だ!! でもね、気丈なお袋は、息子の俺に助けてもらったのが、相当に気に入らないらしい(笑)。「一生の不覚だわ」と、見舞客全員に愚痴ってたよ。