Vol.6『若いころは、とにかく無鉄砲で無防備で……』 2008.11.6 |
〜女にしとくのはもったいないような“ヤンチャなコドモ”時代〜 |
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 Photo by HAJIME |
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カツラ |
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思い出すと、ホントいろんなことがあったなあ。
いろんな人に出会ってきた。 |
アキヨ |
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カツラちゃんは、ラッキーなんだね。 |
カツラ |
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でも、なかにはコワイ思い出もあるわあ。 |
ハジメ |
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ん、どんなこと? |
カツラ |
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うん。
あれはニ・イ・ガ・タ…。
まだ私もすごく若かったんだよね。
当時の彼がマリーナの経営をしていて、
30近く年上の人だったんだけど
とってもフレキシブルな人で。
船で世界一周したい、って、
豪語しているような人でね。 |
アキヨ |
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ウン、ウン。 |
カツラ |
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で、そのときも彼が、
買いたい船に実際に乗ってみるために
新潟に行くことになって。
私も一緒に着いていったんだけど、
船には乗らずに街で待ってたのね。 |
ハジメ |
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そうなんだ。 |
カツラ |
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でも、波が荒れている日で、
待てど暮らせど、彼が海から帰ってこないのよ。
で、ひとりでご飯食べに行ってきて、
まだ帰ってこなくて。
それでさ、そういう全然知らないところの、
田舎のバーとか飲み屋とか
すごい行ってみたくなるわけよ。
さびれたようなスナックとか。 |
ハジメ |
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地元の人だけが来そうな店って気になるよね、
わかるわかる(笑)。 |
カツラ |
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で、ひとりで行ったんだよね。
でもね、そういう田舎の店で
女がひとりで飲んでいると、
男を欲している、って、思われるわけ。
東京のバーで飲んでるのとは、
見られ方が、違うんだよね。 |
ハジメ |
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なるほどね〜。 |
カツラ |
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で、バーで飲んでたら、
東京で俳優やってるっていう男がいてね。
彼を待ってなきゃいけないのに、
その自称ハイユウに誘われちゃってさあ(笑)。 |
アキヨ |
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それは(笑)、キャーだわね。 |
カツラ |
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でしょ。
若かったんだよね〜(笑)。
そのとき、私、愛人だったから、
自分の中で彼に対して「なんでなの?」って
気持ちがあったんだろうね。 |
アキヨ |
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ウン、それは女としては
あるんだろうね。 |
カツラ |
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でも、なんだかハイユウに誘いに
強引に巻き込まれちゃったようなところもあったから、
私もやっぱり、
「なにやってんだろ、自分」って気もしてきて
「もう、帰る〜」って、帰ろうとしたのね。
そしてら、ハイユウがキレちゃって、激怒し出して。
すごく恐かったの。 |
ハジメ |
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またまた。 |
カツラ |
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超コワカッタ。 |
アキヨ |
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恐いね〜。
そのときは、どうやってハイユウの怒りを鎮めたの? |
カツラ |
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そういうときは
「やめて、やめて!」って
大声を出すと、相手も力が入っちゃうから、
こっちは騒がないこと。
もう、ヘンに抵抗しないこと、かな。
そういう人って、コンプレックスがすごく強いから、
抵抗すると、もっと大きく跳ね返ってくるんだよね。 |
ハジメ |
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ああ、反発すると、反動で、
よけいに相手も反発してきちゃうんだね。 |
アキヨ |
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なるほどね〜。
心理戦でもあるんだね。 |
カツラ |
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そうそう。
相手の気持ちって、
自分を映す鏡みたいなところがあるからさ。
そのときも私が抵抗しなかったから、
その男もだんだん落ち着いてくれたもの。
若いときの私って、
すごく恐くても「恐い」って、言えなかったの。
どこまでもとことん行ってやる、
どうなってもいい、みたいな。
無防備で無鉄砲でね。 |
アキヨ |
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威勢が良かったんだ。 |
ハジメ |
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女にしとくのもったいなかったかもね(笑)。 |
カツラ |
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ううん、単にコドモだったんだよ。
今だったら、「恐いから、ここでシツレイしま〜す」って、
言っちゃうけどさ(笑)。 |